新型コロナウイルスの影響で結婚する人が戦後最低レベルまで激減しているという。厚生労働省の人口動態統計(速報値)によると、2020年1~10月の婚姻数は約42万5000件で前年同期比13%下がったという。
全体的に結婚数は減っているものの、“独身主義”と思われていた女性の中には、リモートワークや一人で生きる不安などから結婚に至ったという声も聞く。
今回、お話を伺ったのは、橋本亜依さん(仮名・32歳・派遣社員)。1年前にフラれた元カレとの復縁を果たして結婚した。アラサー女子の結婚観についてと、亜依さんが復縁を果たすことができた理由を中心に伺った。
年収600万円を“普通”というのはアラフォーの人だけではないか
亜依さんは自分のことを「量産型女子」と言う。言われてみると、セミロングのヘアスタイル、目を大きく見せるメイク、オーバーサイズのニットとロングスカート、足元はスニーカー……よく見かけるタイプのファッションをしている。
「東京近郊で生まれ育ち、そこそこの大学に進学し、モラハラ被害で正社員を辞めて、派遣になりました。25歳から一人暮らしを始めて、そこそこ楽しく暮らしていました。あとは結婚することが、人生の目標でした」
だからこそ、周囲に足並みを合わせて来たし、それを苦痛だと思ったこともなかった。
「目立つことは好きではありません。結婚への焦りが生れたのは、24歳のとき。当時、社会人合コンみたいなものに参加したのですが、参加者で“いいな”と思ったのが、人数合わせで無理やり呼ばれた彼女持ちの男性だけだったんです」
特定の恋人がいる男性が、合コンに来ることはよくあるが、亜依さんはそれがすぐにわかるという。
「彼女がいる男性ならではの安定感があるんですよね。私はそこに“いいな”と感じてしまう。でも略奪をするほどその人に魅力があるわけでもないし、私にも熱意はなかったので、それっきりです」
亜依さんが求めているのは“普通”の男性。それは時に女性が婚活相手にのぞむ“普通”論議で出てくるような、そこそこ年収が高く、おしゃれでイケメン風の人、ではないのだそう。
「ITバブルを知っているアラフォー世代の誰かが、普通の男性のことを“年収600万円以上の清潔感ある次男”などと言ったのが流布されているような気がしますが、私たち世代の“普通”は、暴力(言葉も含む)をふるわない、定職がある、変な性癖がない、ギャンブルや酒に依存していない、親との関係をこじらせていない男性をさします。自分も働き続けていきたいし、サプライズも求めていませんから」
そういう男性は、大学時代に目端の利く女性が捕まえていることがわかった。
「完全にロックオンされています(笑)。学生時代から、お互いの友達、実家の行き来をしており、親同士もふたりの結婚を望んでいる、みたいな。25歳くらいで入籍して、28歳くらいで出産するというのがパターン。定型文みたいなものなんです。私はそのパターンに入れなかったので、焦りはありました」
“普通の男性”は希少種、求めてもなかなか探せない