恋愛&結婚 長男とステイホーム婚した東京育ちの一人娘が、地方生活で発症した円形脱毛症~その2~

家族のお金は義母が管理する

彼(夫)は、地元に帰ってから、仕事を探した。縁故採用で建築会社と印刷会社、食品加工会社の内定が出て、最も給料が高い建築会社に決めたそう。

「それでも東京の半額以下となってしまいました。コロナ禍で仕事がなくなったから、今は少ないけれど、後でもっと出すと言われたそうです。この地方は、東京からの新幹線でのアクセスが良く、頻繁に帰れるかなと思っていたのですが、収入がなくては交通費にはお金を使えません。それに、驚いたことに、彼の家は家族全員が稼いだお金を一度義母に渡すんです。それで、必要経費を引き、それぞれに戻す。そういうルールなんだとかで、誰も疑問に思っていないんです。私は、こっそりパートして小遣いを稼ごうと思いましたが、それもできませんでした」

年末年始も彼の実家で過ごしていたが、ある日髪がごっそり抜け始めたという。

「他にも、いろいろ言えないことがたくさんあって、気づけば円形脱毛症になっていました。ある時、お風呂に入っていたら、髪の毛がずるっと抜けたんです。心療内科に行ったら、“あなた、ストレスよ。胃腸も悪くなっているだろうし、皮膚炎などにもなっていない? 円形脱毛症って、体が出す最終的なSOSだと私は思っている”と、東京育ちだという女性の医師に言われ、診療室でボロ泣きしたんです」

義両親には悪意がないけれどデリカシーもない。美味しいからとたくさん食べると「ウチの嫁はよく食べるのね。子供ができたの?」などと言うし、東京に行こうとするとコロナ禍のことを指摘しつつ、「あなたはウチの嫁になったんだから」などとチクリと言ってくる。

「私は一人っ子で、私の両親には私しかいません。両親の反対を押し切って結婚したので、合わせる顔がないと思っており、泣きながら母に電話をしたら、“すぐお父さんと迎えに行くから”と、クルマでウチまで来てくれたんです。60歳の両親が、交代しながら400キロの道のりを走ってきてくれた。ホントにありがたくて涙が出ました」

両親は、義両親に話をして、沙織さんを家に連れて帰った。義両親は「早くよくなってね」と大量のお米と野菜を手土産に持たせてくれた。

「そうなんです。彼らは違う文化の中の“いい人”なんです。悪気はなく、自分が合わないだけ。ステイホームだから、コロナ禍だからとあまり考えず結婚してしまった私が悪いんです」

帰りの車の中、実家の匂いに包まれて、安心して泣きながら寝てしまったという。

「母に言わせると“あんたは痩せて幽霊みたいだった”と。2月末に実家に帰り、3月半ばまでは、義実家からも夫からも連絡はなかったのですが、このところ、毎日のように連絡が入るようになりました。私としてはもう戻りたくない。夫が“緊急事態宣言明けに話をしに行きたい”と言っていますが、この時に離婚の話をしようと思っています。彼も家を背負っている長男だし、私は両親のそばにいたい一人娘。文化の違いは埋めがたく、しばらく実家で過ごしつつ、親孝行をしていきたいと考えています」

最初は自然豊かな場所で生活できることが楽しみだったが……。

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