恋愛&結婚 東京で7年半付き合った彼がいました。もう今は別れて、地方の実家暮らしで、かれこれ別れて10年以上経つのですが、東京の特集など、TVなどでやっていたりすると、その頃を思い出して涙が出ます。その後、何人かの方とお付き合いしても上手くは行きませんでした。忘れることができないのだと思います。どうすれば、吹っ切って新しい自分になれるのでしょうか。K・Iさん(34歳・フリーター)

Aあなたが想っていた「彼」は、もう存在しません。 とりあえず、今目の前にいる人とお付き合いをしてみましょう。

別れた人を、忘れられない。
じつは、こういう女性はかなり多く存在します。
かくいう私も、十代の頃好きだった同級生の男性のことを、その後10年以上好きでした。
結婚しても、子供を産んだ後も、ずっとその彼のことを
世界で一番「好きだ」と思っていました。
そんな気持ちを捨てたかった。
忘れられるものなら、早く忘れたかった。
でも、出来なかった。
なので、相談者の方の気持ちは、痛いほどわかります。

ところが、三十代後半に「彼」と再会したそのとたん、
私は一気に熱が冷めたのです。
なぜ冷めたのか、自分でもいまだにわかりません。
とにかく、冷めたのです。
しかし、なぜか、彼の方はその日を境に私に再接近しようとし始めたのです。
年に数回手紙や、メールが届くようになりました。
それがたび重なったあるとき、私はついに
「二度と、私に連絡をするな」
激怒のメールを送ったのでした。
10数年来、彼との再会をあれほどまで恋焦がれていた私が、ですよ。
その時ほど、人の心、気持ちというものの不思議を身を持って味わったことはありません。

なぜ冷めたか、なぜ激怒したか、はっきりした理由はわかりません。
ただひとつ、私が悟ったのは
10年間目の前にいなかった人は、10年前と少しずつずれている
ということです。
毎日1ミリずつずれても、一年365ミリ。10年で3メートルも離れています。
3メートル向こうの人って、かなり隔たってますよね?

あなたが想っていた「彼」は、多分もうこの世には存在しません。
少しずれた、同じ名前の人がいるだけです。
それは、彼のせいでも、あなたのせいでもありません。

新しい方と、とりあえずお付き合いしましょう。
「前彼のことがまだ好きだ」と、心の中で思っていても
そのことで、今彼に対して罪悪感を抱く必要はまったくありません。
心を隠して、誠実なお付き合いを重ねてください。
目の前に実在する彼だけを見つめて月日を重ねれば
ある日、すとんと、前彼が抜け落ちる日が来ます。
体験上、私は断言できます。

大切なのは、今目の前にいる人と、信頼の時間を重ねることです。

賢人のまとめ

過去の恋愛は、まぼろし。 誠実な人と誠実な時間を積み重ねれば、最初は好きでなくてもやがて「愛」に結実します。

賢人プロフィール

恋愛の賢人柴門ふみ

漫画家、エッセイスト。
『東京ラブストーリー』『あすなろ白書』(小学館)などのヒット作を連発し“恋愛の教祖”として人気を博す。近著に『東京ラブストーリーafter25years』『老いては夫を従え』(共に小学館)など。故郷の徳島市観光大使も務める。夫は漫画家の弘兼兼史。