「子供も若くてキレイなお姉さんが好き」と言い切る夫
後から夫の姉・公子さんと、彼女の2人の高校生の娘が駆け付けてくれました。公子さんは「子供たちに聞かせたらいけないから」と高校生の娘をシッターとして自宅に残し、綾乃さん、夫・孝文さん、夫の姉・公子さん、夫の浮気相手の4人でファミレスに移動します。
席に着くと、孝文さんは観念したのか、すべてをあらいざらい話し始めました。女性はずっと泣いています。
「彼女は職場の部下です。公子さんの名前を使って、その部下の女性を、何度も家に入れていました。子供たちは、公子さんよりも若くてキレイなお姉さんのことが好きだし、それに覚えていないだろう」と、ふてくされた態度を崩さず話す孝文さん。
これには公子さんも綾乃さんも激怒。
その後、孝文さんと不倫相手から慰謝料をもらい、離婚が成立した綾乃さんでしたが、ここまでのひどい裏切りに会ったことによる男性不信から抜けられません。
さらには、そういう結果を招いたのは、母親でありながらトレッキングにはまったことだと自分を責めます。子供たちにも迷惑をかけたし、子供から父親を奪ってしまった、なによりもそんな男を見抜けなかった自分を呪いたいと毎日自責の念に駆られており、私のオフィスにきたときには、すっかり疲弊しきってしまっていました。
「もう誰も信用できないし、誰も愛せない。でも子供のことや、自分の将来のことを考えると、こんな状態から立ち直らなければならない。そんな自分が今どうすればいいのか、わからない」そう言って綾乃さんは大粒の涙を流しました
そこで私が最初にお話ししたのは、世の中にはどうしようもないクズもいるということ。目に見えるクズも多いけれど、エリートの仮面をかぶったクズがとても多いこと。また、それに当たったのは防ぎようのないこと。運が悪かったのであって、綾乃さんが悪いわけではないということをお話しました。一度申し上げても絶対に聞く耳を持ってくれないので、かなり強い口調で苦言を呈しました。
それに夫が浮気をしていなければ、トレッキングの趣味はすばらしいものであり、子供にもいい影響を与えたこと。悪いのは夫であって、綾乃さんではないこと。何か反省があるとすれば、未来の綾乃さんと子供たちが、もっと良くなるためのことを考えればよい、過去の自分を責めて後悔するのは、無駄である、ということをアドバイスし続けました。
その後、数か月かけて心のスイッチを切り替えた綾乃さんは、トラウマになっていたトレッキングに息子さん2人と出かけることに成功。
「恋愛や結婚はもう全く興味がありません。これからは子供のために、前向きに生きていこうと思います」と語っていました。

子供たちは浮気相手の女性が来ると、リビングから出ることを固く禁止されていたため、女性と接触することはほとんどなかった。