500人以上の女性の仕事と恋を幸せに導いてきたキャリアコンサルタント・小川健次が、堅実女子の皆さんの人生を上方修正する、ちょっとしたコツをお教えする連載です。
今回は「ハイキャリア女性に多い長女気質、そして毒母からの支配」について解説していきます。都内のデザイン事務所で働くデザイナーの山下真由子さん(仮名・36歳)は、交際相手の克也さん(仮名・35歳)に、プロポーズされているものの、その返事ができていません。原因は、母親です。
【その1はこちら】
娘の結婚相手を決めようとする
真由子さんが専門学校を卒業し、地元の中堅広告代理店で働きはじめた頃から、母親の真由子さんへの行動が徐々におかしくなっていきました。
「あなたは、弁護士になるという私の期待を裏切った。これはもう許したわ。でも、結婚相手だけは、私の言う通りにしないと許さない」
そうして、真由子さんの交友関係をいつも全てチェックするのです。真由子さんも、少なからず母の期待を裏切ったという負い目もあり、いつも母から交友関係について聞かれると、素直に全て話してしまうのです。
そんな調子だったこともあり、真由子さんの恋愛はいつもうまくいきません。それでも、真由子さんが30歳のときでした。唯一うまくいっていた男性がいましたが、まだ結婚の話さえ出ていないのに、母は「家柄が釣り合わない」と言って大反対。
勝手にその男性の実家に押しかけ、「娘と付き合わないでくれ」と言いに行き、二人の関係を引き裂いてしまったのです。
「母が近くにいる限り、私は幸せになれない」そう強く感じたした真由子さんは、東京への転職を決意。これも母親は大反対でしたが、父親と妹が味方になってくれたこともあり、無事に地元を離れることができたのでした。
後で知った話ですが、父親は自分が母の夢をダメにしたことが、真由子さんへの厳しさにつながっていたと考えていたそうです。その負い目があったので、父親は真由子さんに優しく、全面的に応援してくれたそうです。
無事に東京で新しい生活をスタートさせた真由子さんでしたが、それで母親から離れられるわけではありません。母親は、月に1度は真由子さん宅を訪問。最近の真由子さんの近況をチェックするだけでなく、部屋に男性が入った形跡がないかを確認していきます。
そんな母親のことを、真由子さんは克也さんには話していません。話したところで、克也さんはドン引きすることは間違いないでしょうし、もし母親のことを気にしないと言っても、あの母親が克也さんに何をするかがわかりません。そうなると、克也さんにも嫌な思いをさせることになる。
私のオフィスで、これまでのことや、今の悩みについて一通り話してから、真由子さんは頭を抱えるようにつぶやきました。
「私は母が亡くなるまで、母から逃れることはきっとできない。いや、母が亡くなっても、ずっと母の影に怯えて生きることになる。結婚もやっぱりできないかも」と。
母親に対して、娘は反抗できない傾向がある