恋愛&結婚 「ぐいぐい押してはダメ」心の病を抱える恋人を支えるためのヒント~その2~

500人以上の女性の仕事と恋を幸せに導いてきたキャリアコンサルタント・小川健次が、堅実女子の皆さんの人生を上方修正する、ちょっとしたコツをお教えする連載です。

今回は「仕事がデキる女性は、弱い男性を好きになってしまう現象」について解説します。超大手ネット通販会社でシステムエンジニアとして働く、水口あかりさん(仮名・32歳)は、交際して1年目の洋さん(仮名・35歳)が数日間の音信不通の結果、休職していることを知ります。

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5日前のスーツを着たままボロボロになっている彼

あかりさんには、何が起こっているかがまったくわかりませんでした。今から人事部に行って、詳しく話を聞こうとも思いましたが、あかりさんと洋さんが交際していることは、社内で誰も知りません。聞きに行っても、話しをますますややこしくするだけです。

「とにかく、洋さんと連絡を取りたい。洋さんから話を聞きたい」そう思って洋さんの携帯を鳴らすも、相変わらずコール音のみ。送ったLINEは、昨日からすべて未読のままです。

まったく仕事に集中できない一日を終えて、あかりさんが向かったのは洋さんの自宅です。こうなっては、もうためらってはいられません。

なぜ、突然休職したのか……その事態はまったく掴めませんが、洋さんの身に何かが起こっていることだけは確かです。

あかりさんは、何度か来たことがある洋さんのマンションに来ました。玄関の前に立つと、窓の灯りなどはすべて消えた状態になっています。

それでも、あかりさんの直感が「洋さんは部屋にいる」と告げています。まったく反応のない呼び鈴を数度押していると、やがてドアがゆっくりと開き、中から洋さんが出てきたのでした。

髪はぼさぼさで、目はくぼみ、無精ひげを生やして、うつろな表情の洋さんの姿を見たあかりさんは、驚きました。しかし、一番の驚きは、洋さんがスーツを着ていること。緩めたネクタイと、着ていたシャツが、それが5日前にあかりさんと会ったときと同じものだったことです。体臭こそしませんが、肌はカサカサでかなり痩せたようです。

あかりさんは、強引に家に入ります。リビングのテーブルには、処方薬が置かれ、スポーツドリンクのペットボトルが置いてあります。

キッチンは使われた形跡がなく、20本以上の経口補水液が冷蔵庫に入っていました。

けだるそうな足取りで、あかりさんの後を追い居間に来た洋さんは、開口一番に言いました。「もう別れてほしい。あかりさんには本当に申し訳ないと思っている。でも、見てのとおり、これが本当の俺だから。もう付き合えない」と。

昨日から驚きの連続だったあかりさんは、もうこれ以上は驚かないという肝が座りはじめています。洋さんのその言葉を冷静に聞くことができました。そして洋さんに優しく言いました。

「何があったのかだけでも教えて」と。

洋さんは心の病が発症したのでした。しかも、今回が初めてではなかったそうです。以前に結婚していたときにも、数度同様のことがあったのだとか。離婚の原因はこの病でした。不妊治療のストレスと、ハードワークで病気を発症したとのこと。

会社の人事部と洋さんの直属の上司は、そのことを把握していたので、仕事の負担をコントロールしてくれていました。

ここ数年間は回復傾向にはあったものの、プロジェクトの負担が重く、一週間前に再発したのです。

「職場に迷惑をかけないように、あかりさんに恥ずかしくないようにと自分を奮い立たせて、何事もなかったように振る舞っていた。でも、限界になってしまった」と。一切の表情を顔に出さず語ります。

5日前の夜に帰宅してから、まるで体が動かなくなり、昨日の夕方になって、やっと病院に行けたとのことです。

一緒にいたいというあかりさんの言葉に「それはやめてほしい」と……

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