恋愛&結婚 30代女性が、最愛の両親の早すぎる死を乗り越えるまで~その2~

今回は、多くの方が直面する“親の死”についてです。平均寿命が延びているものの、実際には60~70代で突然亡くなる方も多く、喪失感を抱える方も少なくありません。

今回は、親の死を乗り越えることについて、紹介していきます。

フリーのグラフィックデザイナーとして活躍する中本奈美さん(仮名・35歳)さんは、5年前に独立ましたが、仕事を誰よりも応援してくれた父親が、3年前に脳梗塞で亡くなってしまいます。

【その1はこちら

父親がいなくなって、母親が弱気になっていく……

葬式、相続、遺品整理……父親が亡くなってから、2か月間は目が回るほどの忙しさでした。レストランは従業員が回していたものの、運営を続けるのは難しく、レストラン運営会社が買い取ることになりました。

店舗を明け渡したときが、奈美さんと母親にとっての一番大きな区切りでした。これで本当に何かが終わってしまったのです。

父親が亡くなったことを、奈美さんは現実問題として受け止めました。その日から、奈美さんは、心に空いた穴を埋めるように、仕事に打ち込みます。

一方で、母親は夫の死を受け止められず、思い出しては、泣いている母親を奈美さんはうとましく思うようになりました。

いつまでも死んだ人の影を追いかけて、現実を見ようとはしない。父親が好きだった音楽をかけながら、号泣する母親に対して、「いい加減にしなよ。もう帰ってこないんだから」と言ったことも何度もあったそうです。

母親は手持ち無沙汰もあってか、ボーっとしている時間も増え、奈美さんの経理の仕事のペースが遅れたり、間違えたりすることも頻繁になってきました。母親の辛さを理解しながらも、前に進みたい奈美さんにとっては、そんな母の言動にいら立ちを感じることがあったそうです。

ある日、発行すべき請求書が発行されていないことで、苛立った奈美さんは、母親に対して「いつまでも思い出の中にいないで」と、強くなじるように言ったのです。それを聞いた母親は寂しそうに「そうね」と言って、家を出ていったのでした。

それから、10分ほど経過したときでした。パソコンの画面に向かって、制作中のデザインを確認していた奈美さんの耳に、激しい衝突音が聞こえてきました。自動車が何かにぶつかったような音です。そしてその数分後に救急車のサイレン音が聞こえてきます。

奈美さんは瞬時に家を飛び出しました。「まさかそんなわけはない」そんな奈美さんの思いは、到着した現場で起きている現実によって吹き飛ばされました。救急隊員によって搬送されているのは、まぎれもなく自分の母親だったからです。

搬送先で、母親の死亡が確認された。

1 2