恋愛&結婚 「専業主婦になって」モラハラ傾向がある婚約者に曖昧な態度を続けた結果【後編】

婚約者と別れて、彼と一緒になりたい

優子さんは私のところに来て、「忠雄さんと別れて、洋一さんと交際したい。洋一さんは頼りないけれど、私がしばらく頑張って支えれば、今と同じ生活ができると思うんです」と熱っぽく語ります。

優子さんは、恋をしている女性の瞳をしています。私は「まず落ち着いてください」と、ペットボトルのミネラルウォーターを差し出しました。

水を飲み、一息ついた優子さんは、少し落ち着いたのか、今度は目に一杯の涙を浮かべて話し始めました。

「押し切られて忠雄さんと婚約し、同棲までしてしまった事は後悔しています。忠雄さんへの不満はありますが、みんなに幸せになると期待をされていること。そして、私の見通しの甘さ。一人で家事を頑張っても誰からも認められないんです」とこれまでに溜め込んでいた感情を吐き出したのです。

そして、洋一さんは、その私のすべてを認めて受け入れてくれる人であり、彼となら幸せになれる確信があると。「だから私は忠雄さんと別れて、洋一さんと結婚したい」と断言するのです。

これは、幼いころからホメられて育ってきたキャリア女性に多いのですが、「目の前の人、誰にでもいい顔をしたい」という願望です。

忠雄さんの要望をなし崩し的に聞き、言葉をオブラートにくるみながら願望を伝え続けたこと。聞けば洋一さんにも流されるように男女の関係になっています。

また、あらゆる問題を一つに考えて、自分の都合がいいように考えてもいます。この思考パターンも、優子さんのような女性に多いのです。

「まず、優子さんの目の前の問題は2つです。婚約者・忠雄さんとの関係に不満があるため婚約破棄したいこと。2つ目は、洋一さんと結婚したいという望みです」と言い切りました。

その上で、私は「もし、優子さんが忠雄さんと別れたら、洋一さんはあなたと結婚しますか? その確約はなされているのですか?」と言いました。

それを聞いた優子さんは、驚いた顔をしながらも「たぶん受け入れてくれると思います。今まで出会った中で、私のことが一番美人だし、好きだと言ってくれたのですから」と言ったのです。

そして私はもう一つ、質問しました。「忠雄さんは婚約破棄にすぐに同意をするのでしょうか。忠雄さんは優子さんとの交際や、関係維持に労力も時間もお金もかけています。一方的で強引ではありますが、あなたはそれを受け取っています。別れ話はもめる可能性が高い。洋一さんはそれを含めて受け入れてくれるのですか?」

そこまで言うと、優子さんは自分が感情に流されて、自分を見失っていたことに気が付いたようです。「何も考えていませんでした」と呟いたのでした。

その数か月後、優子さんと忠雄さんは婚約破棄が成立。優子さんが忠雄さんに対し、将来的な関係のあり方を提案したものの、同意を得ることができなかったこともあり、協議の上、婚約破棄をしたそうです。

私との会話で、別れ話がこじれることを実感した優子さんは、今まで忠雄さんから受けたプレゼントや、一緒に行った旅行の目録を作成。交際の約4年半で500万円近くになっていたそうです。

「それまでの私なら、“プレゼントはもらって当たり前”だと思って、スルーしていたと思います。でも、選ぶ労力やお金も絡んでいるんだと腹に落ちて、弁護士に相談しました。弁護士は贈与にあたるから返済義務はないと言われましたが、プレゼントでこじれることは多いそうです。だから、私の心からの誠意を表明するとともに、弁護士同伴で別れの交渉をしました。忠雄さんへの謝罪と、できるだけお金を返したいと言ったら、忠雄さんは“いいよ。それはみんな優子さんにあげる”と言ってくれたのです」

優子さんのような優等生として生活してきた人は、相手が傷ついたり、相手から嫌われるような本音を明かさない傾向があります。しかし、今回、お互いに思いを正直に話し合えたことで、お互いの不満も解消。今後のことについては、友人関係に戻ろうという話になったようです。

洋一さんには、「婚約者と別れた。私と結婚を前提に付き合ってくれる?」と聞いたところ、音信不通になってしまったとか。

「あのとき、冷静になってよかったです。一歩間違っていれば、何もかもが台無しになるところでした」

優子さんは、これからしばらく自分のキャリアアップのために日々を過ごすそうです。

それから半年後、優子さんから「私と別れてから5か月目。忠雄さんは地元の同級生とスピード婚したそうです。彼女は専業主婦願望が強く、家事も育児も好きな女性とのこと。その話を聞いて、忠雄さんには心から幸せになってほしいと思いました」と連絡がありました。

こじれることが想定された別れ話を、スムーズに進めるために何をしたのだろうか……。

賢人のまとめ

1. 相手にとって不都合なことでも、自分の意見はしっかり言った方がいい。 2. 周囲の反応や世間体を優先して人生の決断をすると、後々困ることが多い。 3. 異なる問題をひとつにして、まとめて考えるのはやめよう。

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賢人プロフィール

恋愛・キャリアの賢人小川健次

恋愛カウンセラー/営業・マーケティングコンサルタントとして、年間約500名の女性をカウンセリング。恋愛とキャリアの両立のためのアドバイスが支持される。同時に、中小企業を対象とした営業、マーケティングのコンサルティングを行なう。 株式会社リエゾンジャパン代表取締役、社団法人感覚刺激と脳研究協会理事ほか、多岐にわたる活動をしている。
Blog : https://ogawakenji.com/