500人以上の女性の仕事と恋を幸せに導いてきたキャリアコンサルタント・小川健次が、堅実女子の皆さんの人生を上方修正する、ちょっとしたコツをお教えする連載です。
長年、働く女性の悩みに向き合ってきて、最近少しずつ増えているのが、「恋人や夫が犯罪に手を染めた」という問題です。長引くコロナ禍で甘い誘いに乗ってしまう人も。彼が犯罪者になってしまった…という人も増えており、今回はそのリアルケースから考えて行きたいと思います。
会社員の彼が詐欺に加担した背景とは
大手IT関連会社でメディアプロデューサーとして働く中村幸代さん(仮名・32歳)は、3年間同棲して、コロナ禍が終息したら入籍する予定だった哲夫さん(仮名・35歳)と3週間前に別れを決めました。
その理由は、哲夫さんが詐欺事件で実刑判決を受けたことです。哲夫さんが、有罪判決を受けるのは二度目です。前回は執行猶予付きの判決でしたが、今回は執行猶予期間中の犯行だったため、実刑となったのでした。
一度目は1年前の事件です。詐欺で資産家を騙して資産を奪おうとしたことが発覚したこと。未遂で終わったことや、哲夫さんはグループでも役割が重要でなかったことから、実刑を免れました。
二度目となる今回は、ある機械製作会社が保有する工作機械を騙し取って、海外に売ろうとしていたことが発覚し、逮捕となったのです。
「哲夫さんはそれまで中堅の広告代理店に勤めていて、仕事にも真面目に取り組み、私にも優しかったのです」
『犯罪白書』(2019年・法務省)をひもといても、詐欺罪の検挙率は微増しています。
一度目の詐欺の背景は、哲夫さんがお金の使い方に大きな問題を抱えていました。会社の経営不振で給与が削減されていたのに、今までと同じように遊興費を使ってしまっていたのです。足りない分はカードのキャッシングや消費者金融で賄いました。さらには、海外カジノサイトでお金を増やそうとするも、さらに損失を広げるという悪循環に陥ったのです。
いよいよ、借金の返済ができなくなり、このままだと幸代さんにバレてしまう。そんな強迫観念に駆られて、SNSで知り合ったメンバーと最初の犯行に及んだのでした。
幸代さん恋人として、逮捕から裁判での判決に至る過程を知ったのです。そのときに、哲夫さんの抱えていた問題の全てを知ることになりました。
「哲夫さんが一人苦しみ、悩んでいたことに、自分がもっと早く気づけば良かった。自分は交際相手として失格でした。拘置所の面会室で顔を合わせる度に、泣いて謝る哲夫さんの顔を見る度に、自分のことを責めていました」
会社は解雇されるも、再スタートを切った彼を支えたいと思った