束縛しがちな彼と結婚したら・・・?

結婚を前提に付き合っている彼が、私を束縛するだけでなく、嫌がることばかりします。強く断ると破談になりそうな気がして、強く異論を言えません。(N.Kさん 33歳 公務員)

半年前にやっと正社員で働く彼(30歳・メーカー勤務)ができ、結婚を前提につきあいをしています。先週末に両家の両親の挨拶もすませました。この彼と“別れたくない”ことを前提に相談させてください。 実は彼は、私の嫌がるコト(下着姿の写真を撮影したり、携帯に入っている私の男友達のメアドを消したり、携帯を見たり)をします。これらの行為を強く拒否して破談になった場合、慰謝料は請求できますでしょうか。そのために残しておく証拠を教えてください。

Aどちらかが無理をしている結婚生活は、長く続きません。

さて、質問者さんは、自分にとって“嫌なことをする男性”に拒否の意思を伝え、そのことで別れたくないと悩んでいます。

よく考えていただきたいのは、“この男性が好きで結婚したい”のか、それとも“結婚というものをしたい”のかということです。後者ならば他の相手もいます。自分にとって嫌なことをする相手の要求を聞いて結婚したところで、あなたは幸せになれるのでしょうか。

離婚を含む男女間の問題は、暴力や浮気などを除いては、どちらかが悪いと白黒をハッキリつけられるものではありません。この場合のように、性的な嗜好や、束縛の基準というのは、“合うか・合わないか”それが大きな問題になるからです。この彼のような男性の束縛を、何とも思わない女性もいれば、初めから恋愛対象にすらしない女性もいるということです。

こういった性癖や性格は、お互いよく知らないままに結婚し、入籍してしまった後に問題化して、泥沼の離婚問題になる場合も少なくありません。あなたの場合は、彼のこういう性格が婚前に分かっているので、ラッキーだったといえます。

法律5

本題にはいりますが、「結婚を前提に」付き合っているから、別れ話は慰謝料につながるかというと、そうではありません。まず、婚約したかどうかが問題になります。「結婚を前提に」付き合っているというのは、主観の問題かもしれず、慎重にみる必要があります。両親に挨拶したとしても、必ずしも婚約したことになるとは限りません。

お付き合いの挨拶としか思わなかったと言われればそれまでです。婚約破棄により慰謝料を請求するケースは、婚約していたかどうかが紛争になりがちなので、第三者が見ても、婚約していたであろうと思われる客観的事実が必要です。例えば式場の予約をして前金を入れたとか、結納をしたとか、主観にとどまらない事実を複合的に判断したときに“これはお互いに結婚の約束をしたからこそ”と婚約が認められてはじめて、慰謝料が検討されるのです。

そして、一方的に彼が婚約を破棄したというならば、慰謝料を請求できます。一方的にとは、気が変わったとか、別の女性と交際を始めたなどという場合です。しかし、本件のように、彼の嗜好が受け入れられずあなたが拒否したら、彼が別れ話を持ち出したという場合、彼の一方的なものではなくお互いの適合の問題ではないでしょうか。

さて、これらを踏まえて、そもそも婚約が成立しているのかどうか、婚約しているとしても、お互いが相手に合わせられないという理由で別れ話になったのであれば、慰謝料を請求することはできないでしょう。

何より本当に自分は彼と結婚したいのかどうか、よく考えてみてください。お互いに助け合って生活し、将来子どもが生まれたらお互いに頼れる存在かどうか……そこのポイントをよく考えて、もう一度再考を。これは一般論ですが、あなたの彼のような行動をとる男性は、自己中心的で将来的にあなた自身が苦労する可能性があります。一度結婚をすると、離婚は容易ではありませんから、両親とも相談しつつ、自分の幸せな将来のために決断をしてください。

賢人のまとめ

慰謝料請求のポイントは婚約しているかどうかです。 まずは本当に彼と結婚したいのか考えてみてください。

賢人プロフィール

法律の賢人柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/

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