人生にはいろんな課題があり、社会には多くの問題がありますが、今の私たちにとりあえず必要なのは「『させていただく』を使わない勇気」です。まずは、できることから手をつけていきましょう。自分を磨くとか人生を切り開くというのは、きっとそういうことです。
ちょっとメールを読み返しただけでたくさんの実例が
いつの頃からか、メールでもSNSでも実生活の場面でも、「させていただけたら」や「させていただきます」が目につくようになりました。胸に手を当てると、自分もけっこう使っている気がします。ためしに、この2~3日に受け取ったメールを読み返してみました。
「原稿をお受け取りさせていただきました」
「以前、お尋ねさせていただいた件についてですが」
「日時は、あらためてご連絡させていただけたら幸いです」
冷静に見れば、どれも必要のない「させていただく」です。いや、丁寧に言おうとしてくれている気持ちは伝わってくるので、不愉快に思うわけではありません。ただ、どことなくギクシャクした文章になるし、あえて言ってしまうと、ベースとしての無神経さや「何も考えていない気配」を感じてしまいます。くわばらくわばら、です。
ちなみに、上の3つの例は、それぞれ次の表現で何の問題もありません。
「原稿、お受け取りいたしました」(「お受け取り」で敬意を示している。珍しい言葉を使いたければ「拝受いたしました」という言い方も)
「以前、お尋ねした件についてですが」(「お尋ね」で尊敬を示している。自分がへりくだって「お伺いした件についてですが」でもOK)
「日時は、あらためてご連絡いたします」(「ご」でちゃんと丁寧さを表現している)
「させていただきます」は、実生活でもよく耳にします。コンビニに行けば「1000円からお預かりさせていただきます」と言われるし、ファミレスでは「ご注文のほう繰り返させていただきます」に遭遇しがち。「から」や「のほう」も引っかかりますが、それはまた別の問題として、これらも「お預かりします」「繰り返します」でぜんぜんOKです。

なぜ、私たちは「させていたただく」を乱用してしまうのか……